なぜ日系外国人なのか?
我が国の入管法では、一般的には、就労できる外国人とは専門的な知識や経験を持った外国人に限られています。つまり、海外取引のある企業の貿易部門での就労や外国語の教師、SEなどの高い専門的な知識を必要とするスタッフ及び技術者、外資系企業の管理職或いは代表者などに代表される高学歴者、或いは、特殊分野に於ける技能者としてのエスニック料理のコック等の10年以上(一部の年数に例外があります)の特殊専門職種の実務経験者に限定されています。つまり、メーカーの製造ライン等での労働者や建設現場、食品加工工場の作業員、或いは職人
等の、いわゆる単純労働者として外国人を雇用することは原則できません。但し、例外があります。
それは、いわゆる身分系と呼ばれる在留資格を取得している外国人です。例えば、日本人と結婚している外国人の方、子供が日本人である外国人親権者の女性、永住者、永住者の配偶者、そして、日系2世、3世とその配偶者(「日本人の配偶者等(日系2世)」と「定住者(日系3世と日系2世、3世の配偶者及び日系4世で未成年の頃から本邦に在留している者)」)等の外国人の方々です。
これら外国人の方々は、風俗系の一部職種を除けば特に就労する職種に制限はありません。つまり、製造工場ラインの労働者や建設現場または食品加工工場の作業員、或いは職人等の職種でも問題なく雇用することができるのです。
* 2010年7月1日施工された改正入管法では、技能実習という形で、最大3年間を限度として、外国人による上記のような事実上の単純労働が認められることになりました。 しかしながら、従来のような研修制度という労働基準法が適用されない違法行為が横行するような制度とは異なり、社会保険(年金、健康保険)や雇用保険・労働保険が適用される(農業などの一部業種は適用外)条件の下で、製造工場での技能などの実習を行えるようになりましたので、当然の事ながらすべての雇用主は、外国人労働者に対して割増残業代の支払いは勿論の事、有給休暇の付与、健康診断や労働安全義務なども課せられることになっていますのでご留意下さい。
ちなみに、このような外国人技能実習生の法的保護に関する講習会を、我々のような外部の講師に依頼して、通訳を付けた上で技能実習生に対して実習開始前に行い、外国人実習生が法的に保護される各種権利情報を徹底承知させ伝達する義務が雇用主に発生します。(中小零細企業に対してはJITCOによる講師の派遣や紹介、或いは講師、通訳費用の助成制度もありますから、JITCO(国際研修協力機構 出入国部講習支援課:03-6430-1981)
に お問い合わせ下さい。)
よく、「XX国の人は、勤勉で賃金が安いから雇いたい」とのご質問をされる経営者や採用担当者の方がいらっしゃいますが、この様な事は法律上の制約から事実上不可能となっています。「技能実習で来て、働いている外国人もいるではないか」とおっしゃる方もいると思いますが、彼等技能実習生は、最大でも3年までしか日本には滞在できません。ですから、やっと、仕事に慣れてくれたと思った頃には、必ず帰国させねばなりません。また、技能実習生を受け入れている企業で、無断で退社し、行方が判らなくなった外国人が出た場合には、次回からの技能実習生の受け入れは困難となります。更に、「うちは、外国人でもアルバイトか学生のパートしか使わないから」と言われる経営者の方が居ますが、これも不法残留者や偽造旅券保持者であったり、或いは、資格外活動の許可を得ていない留学生であったりした場合、最悪の場合には、3年以下の懲役、300万円以下の罰金が科せられる事があります。
実際に、過去にどこかの回転寿司チェーンの経営者及び店長が逮捕された事件もあります。この様に、外国人を雇用しようとすれば、皆さんの企業で採用したいとお考えになっている職種の殆どが外国人を就労させることができない職種なのです。
ちなみに、在日フィリピン人は、別表にあるように20万2千人(資料参照)もいるのですが、これらフィリピン人20.2万の内、雇用対象となりうるのは、「日本人の配偶者等」、「永住者」、「永住者の配偶者」、「定住者」の在留資格を持った15.3万人で、パーセンテージで言えば75.7%しか対象になりません。逆に言えば残りの24.3%である約5万人、つまり、4人に1人のフィリピン人は雇用できないフィリピン人なのです。他の一般的な外国人と比べて、日本人と婚姻し、「日本人の配偶者等」、「永住者」、「永住者の配偶者」、「定住者」の在留資格を持った比率が5倍以上と推定されるフィリピン人でさえこの状態ですから、一般的な外国人の場合、雇用できる対象となる外国人は10人に1人にも満たないのです。また、アジア系ではフィリピンに次いで需要の高い中国人、タイ人、ベトナム人ですが、それぞれ60万6千人、4万1千人、3万6千人(平成19年末外国人登録者数)が本邦に在住しており、合計で68万人程がいます。ところが、前述した「日本人の配偶者等」、「永住者」、「永住者の配偶者」及び「定住者」の在留資格を持っている者は、総数の4割にも満たない数で、理論上雇用対象としうるこれらの外国人の数は合計しても26万人前後です。しかしながら、彼等の半数以上が高学歴者で、そもそも対象外ですし、高学歴者でない者も、飲食店などの経営を希望するなど独立志向が極めて強いのが現状ですから、実際に雇用対象となりうる数は、多く見積もったとしても、13万人が限度だと思われます。
一方、ブラジル、ペルー、ボリビア+アルゼンティン他といった日系2世、3世やその配偶者が殆どを占める国々の外国人登録数は、それぞれ31万6千人、5万9千人、1万3千人と、合計で約38万8千人もおりますから、採用可能な中国人、タイ人、ベトナム人の合計が13万人程度しか居ないことを考えれば、単純に計算しても約3倍の採用可能な日系人が日本に居るのです。
更には、中国人、タイ、ベトナム等の外国人でも、6~7割以上の者が、在留資格上、採用できない外国人であるのに比べて、日系2世、3世やその配偶者の場合には、この様な採用上のリスクが殆ど無く、安定した必要人員の確保が期待できます。
30%近い企業が既に、
外国人を採用しています。
神奈川労働局の調査結果(参考資料参照)によると、平成16年度の神奈川県内の100人~299人の従業員規模の事業所のうち、30.9%(465事業所)の事業所で、外国人を雇用しています。また、従業員数50~99人規模の事業所では、23.9%(360事業所)、5人~29人規模の事業所でも、17.8%(129事業所)が外国人を採用しているのです。
逆に言えば、70%以上の事業所が、外国人採用のノウハウが無いが為に、今なお、不利な状況下での人材確保を強いられているのです。
今後は、偽装請負の摘発強化により、労働者の直接雇用がより一層進み、中小企業では、更なる人材難に見舞われる事は必至な状況にあります。ですから、今のうちに、外国人労働者を採用できるノウハウを企業として確立しておかないと、会社の存亡にかかわる事態にならないとも限りません。そして、実際に、そうなってからでは間に合わないかもしれないのです。
当事務所の在留資格手続報酬一覧表はこちら
平成29年1月3日からは、
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【ある企業さんでのケースです】
私がコンサルティングさせて頂いたある企業さんでは、若い課長さんが、最初、私の事務所にお見えになり、その後、その課長さんの熱意で社長さんを説得され、社長さんの強力な後押しの下で、その課長さんと共に、1年足らずで、会社としての日系外国人の採用システムを作り上げました。その課長さんですが、翌年に頂いた年賀状には「取締役部長」と肩書きが変わっていました。当然と言えば当然の事ですが。そして、今現在でも、その会社さんへは、アフターケアー・コンサルティング(内容により月額\21,000~\63,000)をさせて頂いております。今では、日系外国人従業員自らが、知人や友人を連れて来るので、求人広告を出さずとも、一定の人員が確保できる状況に改善されました。
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